米国株式市場は水曜日、朝の急落から一転し、大幅な上昇で取引を終えた。S&P500、ナスダック、ダウ・ジョーンズの主要指数は、約2年ぶりとなる単日最大の反発を見せ、特にナスダックは2.2%の急上昇を記録した。
テクノロジーセクターが市場回復を主導し、S&P500は50日移動平均線を上回る水準で引けた。インフレデータの発表を受け、FRBの利下げ期待はやや後退したが、市場全体としては回復の兆しを見せている。

ナスダック、S&P500、ダウが揃って大逆転

米国株式市場は水曜日、主要な3指数が揃って大逆転を見せた。ナスダック総合指数は一時1.4%の下落を記録したものの、最終的には2.2%上昇して取引を終えた。S&P500も1.6%の下落から1.1%の上昇へと反転し、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均も0.3%の上昇で締めくくられたが、最大で1.8%の下落を経験していた。

今回の急反発は、2022年10月13日以来最大の一日での回復劇となる。この日は、2022年の弱気相場が実質的に終わった日としても知られており、市場関係者にとっては重要な転換点となる可能性がある。特にナスダックとS&P500が連続して上昇したことから、短期的な市場の底打ち感が高まっている。

投資家は一時的な売り圧力に惑わされず、堅実な回復基調を見せたことを評価している。しかし、米国経済や世界情勢が依然として不透明な要因を抱えているため、慎重な姿勢が求められている。特に選挙やインフレ動向などが、今後の相場に大きな影響を与えると見られる。

テクノロジーセクターが反発、消費財は後退

テクノロジーセクターが市場の反発を主導した。特に注目すべきは、Technology Select Sector SPDR(XLK)が3.4%上昇し、他の業種を圧倒したことである。この結果、今月初めに売りが強まったテクノロジー関連銘柄が急速に回復し、短期的なリーダーシップを発揮している。

一方で、消費財セクターは相対的に弱含み、Consumer Staples SPDR(XLP)は0.9%の下落となった。また、ヘルスケアや不動産セクターもそれぞれ0.3%のマイナスを記録している。このように、テクノロジー関連株が強さを見せる中、他のセクターは遅れを取る形となった。

さらに、保険関連株も軟調であった。ハミルトン・インシュアランスやトラベラーズ、エリー・インデムニティといった銘柄が高い取引量を伴い下落したことが、セクター全体のパフォーマンスに影響を与えた。今後、テクノロジー株が引き続き市場を支えるか、他のセクターが巻き返すかが焦点となるだろう。

インフレデータとFRBの次なる一手

水曜日の市場は、インフレデータの発表を受けて一時的に軟調に推移した。8月の消費者物価指数(CPI)が発表され、インフレが引き続き緩やかに進行していることが示されたが、コアCPI(食品とエネルギーを除く)は市場予想を上回る0.3%の上昇となった。これにより、金利に対する期待が再度見直され、特に利下げの見通しが市場に影響を与えた。

市場は当初、0.5%の大幅な利下げを期待していたが、このインフレデータを受けて、0.25%の利下げが現実的なシナリオとして浮上した。連邦準備制度理事会(FRB)は9月の会合で、利下げを決定する見込みだが、依然として経済データ次第であり、市場は神経を尖らせている。

独立アドバイザーアライアンスの最高投資責任者クリス・ザカレリ氏は、「FRBが次回の会合で0.25%の利下げに踏み切る可能性が高い」と述べており、これが市場にとっても妥当な期待となっている。ただし、インフレ率が予想を下回っていれば、より大幅な利下げもあり得たと指摘されている。

投資家はさらなる買いのチャンスを探る

今回の反発を受け、投資家たちは市場の底打ちを期待しつつ、買いのチャンスを模索している。特に注目されているのが、株価が50日移動平均線を上回るか、または重要なトレンドラインを超えるタイミングである。S&P500は今回、9月5日以来初めて50日移動平均線を上回って終値をつけた。

また、IBD 50として知られる成長株リーダーたちも堅調な動きを見せている。特に、Oscar Health(OSCR)は、5月21日の高値を結ぶトレンドラインを突破し、Doximity(DOCS)は三週間のタイトなパターンを形成している。これらの銘柄が示すように、トレンドに乗る形で新たなエントリーポイントが生まれつつある。

ただし、ナスダックは依然として50日移動平均線を下回っており、回復基調が完全に確立したわけではない。経済ニュースや選挙関連の不確実性が市場の先行きに影響を及ぼす可能性が高く、投資家は慎重に動く必要がある。とはいえ、現在の市場環境下では、新たな投資チャンスが数多く存在している。